一ノ瀬ワタル / 俳優・元格闘家
Thailand
タイ
覚悟がなければ、逃げ出していた
一ノ瀬ワタルの修業の地、タイ
一ノ瀬ワタル / 俳優・元格闘家
※写真はGoogle Pixelで撮影しています。
2023年、配信ドラマ『サンクチュアリ -聖域-』で一躍スターになり、日本にとどまらず世界的にその名を轟かせた規格外の俳優、一ノ瀬ワタル。無骨ながらも観る者すべての心を揺さぶる演技と、圧倒的なまでの存在感で画面を占拠する彼は、かつて格闘家を目指していた。出身は佐賀嬉野。中学を卒業後、格闘家を目指し、上京。しかし、仕事との折り合いがつかず頓挫し、沖縄のキックボクシングジムへ。内弟子として練習に励み、その後、師匠に勧められるがままキックの本場・タイへ。目指したのは、バンコクから車で1時間のナコンパトム県。そこで、見聞きしたものや出会った人たちが、彼の運命を変えたという。過酷で劣悪な環境は百も承知。その上で選ぶのはいつだって、いばらの道。それが宿命と信じていた。この地を訪れてなければ、“俳優 一ノ瀬ワタル”は、存在しなかったかもしれない。格闘家としては負けた。しかし、新天地で花を咲かせた男が、18年ぶりに自身の人生の聖域をめぐる。
JOUR
NEY
War Sinsanage Gym
ウォー・シンサネージム
一ノ瀬さんが住み込みで修業をした場所
格闘家を目指す若者たちが切磋琢磨しながら練習に励んでいた、ナコンパトム県にあるジム。一ノ瀬さんは、沖縄のキックボクシングジムの師匠に勧められ、単身でこのジムへ。現在は閉業してアルミ加工の工場になっているが、当時の外観や看板などが残っている。食事は1日2食だったため、お腹が空いた時には裏の池で魚やカエルを獲って食べていたそう。ジムの近くには会長のウィナイ・シンサネー氏のお墓があり、一ノ瀬さんも墓参りをした。
Hua Lamphong Station
一ノ瀬さんの思い出の駅
100年以上に渡りタイの人や観光客に親しまれている、バンコク最大で最古のターミナル駅。正式名称は「バンコク駅」。ドイツ・フランクフルト駅をモデルにデザインされたという駅舎が特徴的。一ノ瀬さんはタイに住んでいた時に、気分転換でこの駅から電車で12時間かけてラオスに向かった。ラオスとの国境のノンカーイ駅まで、当時は椅子タイプの3等席で移動していたが、ロケでは初めて2等席の寝台列車に乗車。快適な旅を楽しんだ。
Hua Lamphong Station
フアラムポーン駅
Rong Mueang Rd, Rong Muang, Pathum Wan, Bangkok
Mekong River
人々の暮らしと文化を育む
偉大なる大河
全長約4,900kmにも及び、ミャンマーとラオスの国境、タイとラオスの国境、カンボジア、ベトナムを通って、南シナ海へと流れる河川。沿岸部に住む人々の生活を支えてきたことから「母なる川・メコン」と呼ばれている。一ノ瀬さんはこの場所で、「若いうちは苦労は買ってでもしろ」という祖母の言葉を振り返った。
Mekong River
メコン川
Tambon Ho Kham, Amphoe Mueang Bueng Kan, Bueng Kan 38000
Ban Sabai Sauna
レモングラスの香りに
包まれるサウナ
最近サウナにハマっているという一ノ瀬さんが訪れた、ラオスの首都ヴィエンチャンにあるサウナ店。ラオスでは薬草スチームサウナが伝統で、こちらのお店ではレモングラス、コブみかんの葉、ユーカリの3種のハーブを使用している。一ノ瀬さん曰く、トレーニングの時もサウナを出る時も「自分の限界はどこか」を考えてしまうとのこと。
Ban Sabai Sauna
バーン サバーイサウナ
XJC5+4WJ, Vientiane,laos
Patousay
勝利を意味する
東南アジアの凱旋門
ヴィエンチャンの人気観光スポットで、ラオス語で「勝利の門」の意味を持つ建造物。内戦の戦没兵士の慰霊塔として建てられ、パリの凱旋門をイメージして作られたという一説も。インド叙事詩「ラーマーヤナ」をモチーフにした天井は必見。一ノ瀬さんも上空からの眺めと開放感を味わった。
Patousay
パトゥーサイ
XJC9+7C3 P.D.R, Vientiane
Rajadamnern Stadium
一ノ瀬さんのタイ修業で
最後にリングに立ったスタジアム
バンコクのランドマーク的存在で、世界的に有名なムエタイとボクシングの専用競技施設。1941 年に建設され、これまで数多くの名ボクサーが戦った場所。一ノ瀬さんは最後にこのスタジアムのリングに立ち、タイでの修業を終えた。ロケでは、以前写真を撮ったというスタジアムロゴの前に立ち、思わず涙を見せるシーンも。「辛かったけど今は感謝しかない」と当時を振り返った。
Rajadamnern Stadium
ラーチャダムヌーンスタジアム
8 Rajadamnern Nok Road, Wat Somanas, Pomprapsattruphai, Bangkok 10100 Thailand
聖地のリングに立ち、タイでの修業に幕を下ろした。
思い描いていたヒーロー像とは、違っていた。
それでいいのか。このままでいいのか。
自問自答を繰り返していると、運命的な出会いに導かれた。
大ヒット不良マンガ「クローズ」をベースにした映画『クローズZERO II』。
悪者を倒す、ヒーローではない。けれど―――満たされた。
そして、グローブを置き、戦いの舞台を、
リングからスクリーンへと、変えた。
険しければ険しいほど、得られるものも大きい。そう信じている。
自分しか演じられない役で、皆を幸せにする。輝かせる。
いばらの道よ、どんと来い。
JOUR
NEY