岸井ゆきの / 俳優
Belgium
ベルギー
俳優・岸井ゆきののポジティブな逃避行
役者人生を見つめ直すきっかけの地、ベルギー
岸井ゆきの / 俳優
※写真はGoogle Pixelで撮影しています。
今年は映画『ケイコ 目を澄ませて』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞し、俳優として輝かしい活躍ぶりを見せている岸井ゆきの。そんな彼女が訪れたのは古くから交通の要衝として栄え、EUやNATOといった国際機関の本部も置かれるベルギー。12年前、家族と共に訪れた。当時、20歳目前の彼女は、まだ何者でもなかった。事務所に入ってはいたものの、台詞のないエキストラや倉庫でバイトをする毎日で、将来が見えない人生に対し、漠然とした不安感を抱えていた。そんなとき、何かを見つけたいという思いで1枚の絵画を目当てに飛び出した。停滞していた当時の生活を無意識に打開するように海を越えた旅。これをきっかけに、今では仕事の合間を縫っては自分の世界を広げるために海外に旅立った。全てのきっかけであるベルギーを訪れてから十数年。これまで私生活を明かしてこなかった、岸井さんの好きなものが詰まった旅をもう一度。自分の根源を確かめるために再びベルギーを訪れます。JOUR
NEY
Grand Place
世界で最も豪華で美しい
と謳われる広場
ブリュッセルの中心地にあり、市庁舎や市立博物館、ギルドハウスなどの歴史的建造物に囲まれている大広場。1998年にユネスコの世界遺産に登録された。偶数年に開催される夏の祭典「フラワーカーペット」では、石畳が生花の絨毯で覆われるそう。
Grand-Place
グラン・プラス
Grote Markt, 1000 Brussel, Belgium
Maison Dandoy
ベルギー最古の焼き菓子店
1829年に創業した、伝統的な焼き菓子のお店。生地自体に甘い味付けがされている、丸形のリエージュワッフル、味付けが控えめでフルーツやソースをトッピングして食べる、長方形のブリュッセルワッフルの2種類のベルギーワッフルを提供している。また、ベルギーが発祥のシナモンやナツメグなどスパイスが入ったビスケット、スペキュロスでも有名。岸井さんはアイスとスペキュロスをトッピングした、出来立てのブリュッセルワッフルを食した。日本では、映画の役に没頭しすぎるあまり、自然と食事を制限してしまうようになったが、海外では好きなものを好きなだけ食べるようにしていると決めているそう。
Maison Dandoy
メゾン ダンドワ
Galerie du Roi 2, 1000 Bruxelles, Belgium
La terrasse
北海で採れた海鮮を使った
ベルギー料理
海鮮料理やベルギービールを楽しむことができる大衆的なレストラン。店内には吹き抜けがあり、巨大な絵画や豪華な装飾が施され、上品な雰囲気が漂う。一方テラス席では、ベルギーの街に溶け込みながら食事を楽しむことができる。岸井さんは大好きなムール貝の白ワイン蒸しとヒラメのムニエルを食した。
La terrasse
ラ テラッセ
Rue des Bouchers 12, 1000 Bruxelles, Belgium
Flea market on the place du Jeu de Balle
365日毎朝開催している蚤の市
ブリュッセルで最も有名なアンティークマーケットの一つ、ジュ・ド・バル広場の蚤の市。約70の屋台が出店している。古い置き物や家具、洋服、靴などが揃い、ガラクタも多いが掘り出し物が見つかることもあるそう。
Place du Jeu de Balle
ジュ・ド・バル広場
1000 Brussel, Belgium
Royal Museums of Fine Arts of Belgium
収蔵点数約2万点
ベルギー屈指の美術館
1803年にオープンし200年以上の歴史を誇る美術館。「古典美術」「世紀末美術館」「マグリット美術館」など複数の美術館から成っている。ピーテル・ブリューゲル、ルーベンス、アルフォンス・ミュシャなど15世紀から近代までの幅広い芸術作品を数多く所蔵している。
Royal Museums of Fine Arts of Belgium
ベルギー王立美術館
Rue de la Régence 3, 1000 Bruxelles, Belgium
Magritte Museums
数多くのルネ・マグリット作品を
鑑賞できる美術館
ベルギー王立美術館の敷地内に位置しており、20世紀初期に誕生した芸術運動「シュルレアリスム」作品を数多く残したベルギー出身の有名画家、ルネ・マグリットの絵画を収蔵・展示している。12年前、岸井さんがベルギーに訪れるきっかけにもなった作品『光の帝国』シリーズの一点も展示されている。マグリットの作品を観て、正解を求める事はせず、自分自身の感じたことをそのままの解釈で持ち帰るのが、岸井さん流の楽しみ方だそう。
Magritte Museums
マグリット美術館
Pl. Royale 1, 1000 Bruxelles, Belgium
Cathedral of Our Lady
アニメ『フランダースの犬』
の聖地として知られている大聖堂
アントワープに位置する、1352〜1521年に建設されたゴシック建築のローマ・カトリック教会大聖堂。「ベルギーとフランスの鐘楼群」のひとつとして世界遺産に登録されており、シンボルでもある尖塔の高さは約123メートルにもなる。アニメ『フランダースの犬』で、主人公ネロが憧れ続けた絵画、ルーベンス作『キリスト降架』や『聖母の被昇天』が収蔵されている。
Cathedral of Our Lady
アントワープ聖母大聖堂
Groenplaats 21, 2000 Antwerpen, Belgium
Canal Cruise
ベルギーの首都ブリュッセルから車で約2時間。
岸井さんが新たに足を踏み入れた街、ブルージュ
欧州の「水のベニス」とも呼ばれているこの水の都では、街を張り巡る運河を周れるクルーズアクティビティに参加した。
英語、フランス語、オランダ語でこの地の歴史を船長が解説してくれる。
The Belfry of Bruges
映画『in Bruges』のロケ地
1486年に開業した、マクルト広場に面して建つブルージュのランドマーク的建物。展望台からは街が一望できるそう。アントワープの聖母大聖堂と同じく、「ベルギーとフランスの鐘楼群」として世界遺産に登録されている。好きな映画の撮影地に訪れることができた岸井さんは、作品とのギャップや登場人物が実際は存在しないことをありありと感じ、寂しい気持ちになったそう。
The Belfry of Bruges
ブルージュの鐘楼
Markt 7, 8000 Brugge, Belgium
想像の世界に没頭することで、不安感から逃げてきた岸井さん。
自分ではない誰かを演じる役者を続けてこられた理由は、
多くの人が関わり合いながら、
ひとつの作品という世界を創り上げる一員であったからだと語る。
今回、ベルギーを再び訪れたことによって、
確実に時間は進んでおり、知識が増え、
しっかり生きてきたということを再認識することができた。
岸井さんはこれからも、映画や絵画のように答えのない人生を、
考え、楽しみながら歩み続ける。
JOUR
NEY